概要
少女漫画の金字塔。いわずと知れた名作。
主人公北島マヤは冴えない自分にうんざりしながらも
芝居が好きという気持ちだけは誰にも負けない少女。
作中はある一つの劇を題材として、導入、修行、
そして舞台という流れで進んでいく。一つの舞台が
終わると次の題材へ進むというシンプルな部構成だ。
境遇、人間関係、恋模様が実に緻密に描かれるが、
特筆すべきは舞台演出であろう。
白目や特徴的な流線型の集中線などの漫画表現の演出がそのまま舞台演出となり、
読者は(大げさではなく)観客の一人として舞台を読み進めていく気持ちになる。
面白いところ
主人公の北島マヤは憑依型の役者であり、
周りの役者やライバルをたじろがせる。
現代風に言えば無自覚無双の元祖のような作品であり、
少年漫画ばかり読んでいた人でも楽しく読み進めることができる。
また、登場人物の心情、想いが非常に丁寧に描かれており、
物語に感情移入しやすい。
特に真澄様が熱い。熱すぎる
気になるところ
マヤを際立たせるために周囲が「な、なんて娘なの…」といった
リアクションをするのだが、これをシリアスギャグと受け取れないと
作品の印象が変わってくるかもしれない。
私はこういった行き過ぎた表現が大好きである。
総評
未読の方にはぜひ読んでもらいたい。名作中の名作。
私は文庫版で通読したが、副題として~①といった
タイトルがついているので、キリのいいところから
読み進めることもできる。
1巻から読み始めるのがおススメだが、途中からの場合は
「冬の星座」(ふたりの王女)をおススメしたい。
美内先生のオリジナル劇が題材となっており、
劇の内容と物語が極めて高度にリンクされている。
ライバルと高めあいながらも舞台上ではバチバチに勝負する姿は
胸を熱くさせてくれるだろう。